不動産市場50年の激動

人それそれぞれによって歴史に対する見方はあると思われますが、長らく不動産業界を歩いてきた者から見た不動産業界のエポックを整理してみました。
新聞・雑誌やインターネットで表面的に接するのと実際の現場を身をもって体験し痛みを感じるのとは全く異なるものであることを改めて思い知らされました。

第一次オイルショック:1975年頃
1973年10月に第四次中東戦争が勃発したことを受けて、アラブ石油輸出国機構(OPEC)がイスラエルを支持する国々への原油禁輸措置を打ち出したことが原因で発生。
これにより、戦後30年間上昇し続けた不動産価格は一部の地域で下落する等長らく続いてきた我が国の土地神話にも陰りがみられるようになりました。
当時我が国の大手不動産企業の多くが倒産したのを憶えています。

バブル崩壊:1990年頃
1991年から1993年頃にかけて起きた株価や地価の急落のこと。
日本経済に大きな影響を与え、その後の長い不況の入り口となりました。
バブル崩壊の直接的な原因は、1989年の強引な金融政策転換と総量規制の実施と言われています。
世界的に見てもバブル崩壊の歴史はありますが、これらバブル崩壊では当時の投機対象財の価格はビーク時の1~2割程度まで下落して終息したもようです。
わが国不動産価格(投機対象商品)も立地によってはその程度の水準まで下落しました。
→不動産価格下落巾・・・半値・8掛け・2割引等
※ヨーロッパの投機対象商品:チューリップ球根(オランダ)等。
我が国の不動産業界でも多くの企業(業者)は廃業に追い込まれ、パンデミック時の飲食業者業界、接客業者業界と似た状況に陥りました。

リーマンショック:2010年頃
2008年9月15日にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけに発生した世界的な金融危機と不況のこと。
リーマンショックの直接的な原因は、サブプライムローン問題のです。
経済界全体に大打撃を受けました。

コロナパンデミック:2020年頃
2019年12月に発生した新型コロナウイルス感染症のこと。
感染拡大を防止するために、世界各国でロックダウンや移動制限などの措置が取られ、経済活動が大きく停滞しました。
バブル崩壊やリーマンショックと比較すると不動産業界への直接的な影響は小さかったように思われますが、飲食業・接客業等などでは致命的な打撃を受けた模様です。
不動産業界でもオフィス稼働率の低下(在宅ワーク普及)、商業テナントの閉鎖などの影響が出ている模様です。

今後の不動産ビジネスの在り方
この50年、不動産業界は10~20年毎に一度、業界を揺るがすような大きな波に襲われています。
これらのことを考えると、開発資金の返済期間が20年から50年とすることが多い大型不動産開発では,長期スパンで取り組むことが求められます。すなわち、不動産事業では基本的にこの程度のインパクトが数回起こりうるということを前提にしておく必要があると思われますが、これらの荒波に耐えるのは簡単ではありません。
今後の事業計画(開発計画)を立案する上でこれらの歴史的事実は認識しておく必要があると思われます。

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